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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第116章 心、重ねて




彼らとの最終ミーティングを終え、私達はそれぞれのアイドルの元へと向かう。

もう入場が始まっていた。あと1時間ほどで開演だ。TRIGGERの控え室に戻ると、3人ともメイクも終わり衣装に袖を通した状態であった。人の気も知らないで、実に楽しそげである。


「天、龍!見たか?MAKAからの祝い花!発注ミスを疑うぐらいデカくてさ。さすがに気合い入れ過ぎだよな」

「あはは!うん、見た見た!豪快な性格のMAKAさんらしいよね!」

「祝い花なら、FSEのミクさんからも届いてたよ。白系の花がバランスよく集められてて、すごく綺麗だった」


普段よりも少し高揚感のある3人に、私はじっとと視線を向ける。それに気付いた楽が、片目を細めて愉快そうに揶揄ってくる。


「ん?どうした?せっかくの可愛い顔が台無しだぜ?」

『その台詞なら、もう他の人に言われて来ましたよ』

「は?誰に?」


目を丸くする楽。そして、龍之介がシュンと眉尻を下げて問い掛ける。


「やっぱり、怒ってるよね…」

『……』

「ごめん!!差し入れのプリン、君の為にチョコ味を残しておくべきだった!」

『違う違う』

「なあ。誰に何を言われたって?」


お次は天が会話に加わる。彼もまた、申し訳なさそうな表情だ。


「裏で勝手をしてごめんね。でも、どうしてもキミのことを驚かせたかったんだ。それにファンも喜んでくれているし、悪いことでもないから許して?」

『えぇ大いに驚きましたよ。機嫌を直しても良いですけどその代わりに、配った物の中身が何なのか教えてもらえません?あの小さな黒い袋には一体何が入って』

「おい!誰にどんなこと言われたんだよ」

「『楽はうるさい!』」


ぴしゃりと私達に言われてしまった楽は、うっと一歩後ろへ引いた。そんな彼の肩に、龍之介が優しくぽんと手を置いたのだった。

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