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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第116章 心、重ねて




「ユキのことは大好きだけど!そういう好きとは違うからね!?」

「じゃあ、何しようとしてたんすか…」

「はっ!!そうだった!ねぇ2人とも聞いて!っていうかこれ見てよ!
ユキの…ユキの、パーフェクトフェイスに…ニキビが出来ちゃったんだよ!!」

「『……は?』」


うるうると瞳を涙で滲ませながら、百は訴える。彼に促されるままに千の御尊顔を拝見すると、たしかに小さく赤い膨らみが額にあった。


「ま、まさか…さっきの悲鳴は、コレを見つけたからか…?」

『顔が近かったのも、どうやらニキビを凝視していたせいと』


何のことだか要領を得ないという様子の百に、私達は説明する。廊下で百の悲鳴を聞き、何事かと急ぎこの部屋へ駆け付けたことを。


「あっはは!そっか、ごめんね!驚かせちゃって!でもオレもビックリしたんだから!
急にドアノブが落ちちゃったと思ったら、そこからにゅって指が生えて、楽と春人ちゃんが現れるんだもん!」


明るく笑って見せる百だったが、その笑顔の奥には疲労の色が滲んでいる。おそらくは、ずっと千に付き合っているのだろう。
そんな憶測を立てながら、私は恐る恐る千の方へと視線を向けた。

すると彼は、困ったように笑って見せる。その無理に作った笑顔を見た時、やはりここに来るべきではなかったと、私は後悔した。

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