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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第15章 俺…もしかしたら…、ホモなのかもしれない!




【side 十龍之介】


俺は、どうしてしまったのだろうか。

今日の撮影からというもの、彼の顔が頭から離れない。
彼…中崎春人の顔が。


『十さん』


あぁ、とうとう顔だけに止まらず 声までもが聴こえてくる始末。
考えても考えても分からない。頭の中では思考がぐるぐる回って、足元もおぼつかない。

目を閉じれば浮かんでくる春人の表情。静寂の中では春人の幻聴。こんなのは、こんなのってまるで…恋


『十さん!』

「!!!」


腕を引かれる感覚。見下げると、そこには渦中の人物がしがみついていた。


「うわ!!な、なん」


自分で作り出した幻覚…では、ないようだ。そこには本物の春人がいた。


『驚かせてすみません。でも十さん、なんだかふらふらしていたので焦って声をかけてしまいました。
大丈夫ですか?』


心配顔で、俺を見上げてくる。
改めて見ると、目が大きい、顔が小さい。睫毛が長い、唇が綺麗。

なんだ、これは、どうして、こんなにも可愛いのか。まして撮影の時とは違って女装もしていないのに!


『十、さん?』


ますます心配そうに、顔を近づけてくる。
俺は堪らず、そんな彼の肩に両手をポン と置いて。自分に言い聞かせるようにハッキリと発言する。


「君は、男だ」

『は、はぁ…』


何を突然?という顔で訝しむ春人。

駄目だ。もう駄目だ。触れている両手の平が、じわりと熱い。


『本当に大丈夫ですか…』

「大丈夫じゃ…ないかも」はぁ


俺が大丈夫じゃないかもと告げると、彼は深刻そうに顔を歪めた。

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