第15章 俺…もしかしたら…、ホモなのかもしれない!
そう。私が龍之介を探す理由は、食事に誘う為だ。
以前から、ずっと気になっていた。それは、
“ 彼の中にある、矛盾 ”
世間が求める、十龍之介と。本来の十龍之介。そのギャップに、彼は苦しんでいるのではないか。ずっとそう感じていた。
それは、今日の撮影でも顕著に現れていたと思う。
アクシデントで 女性との絡みがなくなり、代役が私となった時の 彼のほっとした表情。
その顔を見た時、私は思った。
龍之介の中で、TRIGGERの十龍之介を演じる事に 齟齬が生じているのではないか?と。
今から思えば、抱かれたい男ランキングの結果を見た時も様子がおかしかった。自分が2位に選ばれたにも関わらず、喜びよりも 困惑や不安といった表情が見てとれた。
『…このまま彼を放置するのは、危険な気がする』
私がそう呟いたと同時に、渦中の人物の背中が目に入る。
『十さん』
私はその背中に声をかける。
しかし。
「…………」
彼は私の声に気付く事なく、歩を進め続ける。
しかも、なんだかその足取りはふらふらと頼りなさげではないか。
もしかして…事は私が構えていたよりも深刻化しているのかもしれない。そう思ったら、居ても立っても居られずに私は龍之介の腕を掴んでいた。
『十さん!』
「!!!」