第116章 心、重ねて
っく…!と声を詰まらせて、私は尖った視線を4人に投げる。
『まともに良いところを上げてくれてるのは悠だけじゃないですか!貴方達、本当に私のこと好きなんですか?』
「当たり前だろう。どこの誰よりも愛してる」
虎於はおくびもなく言い放った。相変わらずの流れるような告白だ。龍之介はにこにこで、声を弾ませる。
「良かったね春人くん。好きだって言ってくれる人は、絶対に多い方がいいもんな!」
彼のこの余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)具合が気に入らなかったのか、4人は揃って眉を寄せた。
「ふぅん、そんなふうに笑えるんだ。TRIGGERの3人よりも、オレらのがこいつのこと好きだって言ってんのに」
「えっ、いや、そんなふうに言われても…!俺達も君達も、どっちも好きな気持ちは変わらないだろ?」
「お言葉ですけれど。私達、ランキングや優劣にはかなり敏感な方でして。男でしたら、やはり何事においても1番が良いでしょう?」
虎於に留まらず、悠と巳波も挑発的だ。じりじりと龍之介との距離を詰める。まぁこれくらいでないと、むしろŹOOĻ感がないか。と、私はぼんやりと考える。そんな中、グループ唯一のピースメーカーが空気の清浄化を測り始めた。
「おいトラ!ハルもミナも、わざわざそんな言い方しなくてもいいだろ?十さんも困ってんじゃねえか!っつか、頼むから春人もこいつらに何か言ってやってくれよ」
『あぁ、すみません。今夜の献立を考えていました』
「おおぉい!相変わらずだな!あんた!」