第115章 最高のアイドルを
「1ヶ月後!?」
一通りの説明の後。開催時期を聞いた途端に声を上げたのはトウマであった。しかしすぐに、はっとした様子で両手で口を覆った。
『大丈夫ですよ。関係のない話ではないので、センブリ茶の刑には処しません』
「セーフで良かった!!」
『むしろ、そこが今回のライブの最大唯一の問題点だと言えます』
私が表情を落とすと、百が顔を傾ける。
「でも、本当になんでこんな直近?通常のライブでさえ、準備期間1ヶ月は流石にないよね…まして、4グループ合同の大掛かりなイベントなのにさ」
『理由は…1つ、です。それは…』
私、紡、凛人と士郎は、揃って苦々しい顔を俯ける。そしてゆっくりと、あるサインを作った手を持ち上げた。そのサインは、4人共が同じ。手の平を上向けて、指で輪っかを作る。そう。
“ お金 ” を形取ったものだった。
「あ、あぁ…あはは。なるほど」
申し訳なさそうに俯いたマネズを前に、百は堪らず苦笑いでそう漏らした。
「やっぱ武道館ともなれば、その使用料も桁違いなわけね。それで?具体的にはおいくら万円?」
『詳しくは、資料の最終ページ…。袋とじにしてありますので、お手元のカッターナイフで切り開いてご覧ください』
「なんでわざわざ袋とじ!?」
『遊び心です…』
「あー、はいはい。面白いですねー。
ったく…面倒くせぇな。でもなんでカッターが机の上に用意されてたのか謎が解けたわ」
大和はぶつくさ言いながらも、繋がった紙に刃を入れる。そして、ようやく現れた数字の羅列に目を走らせた。
「……なるほど。こりゃ確かに桁違いだな。あんたが袋の中にこれを閉じ込めたくなったのも頷けるよ」