第115章 最高のアイドルを
お次は紡が、鼻息を荒くして情報を提供する。
「しかも!武道館を押さえてくださったのは、中崎さんなんですよ!」
「!!
そ、そうなのか?」
『私だけの力だけではないですよ?』
百や千の情報収集。万理の特大ヒントがなければ、辿り着けなかった結末なのは間違いないのだから。
「はは。謙遜しなさんなって。その功績が認められたから、こうしてフルフェスの最高責任者を任されてんでしょ」
「そうなのか!!お前…すげえな…」
キラキラで混じり気のない、真っ直ぐな楽の視線が向けられる。なんだか小っ恥ずかしくて、ふいと顔を横向けた。
「って、いうかな…
そんな良い話!少しは事前に伝えとけよ!」
『昨日決まったばかりなんですよ』
「昨日決まったなら昨日言えるだろうが!」同じ家に住んでんだから!
『天や龍にも、同時に伝えたいじゃないですか』
「あぁそうかよ。相変わらず俺とあいつらは同列なんだな」
『当然です』
まるで拗ねた子供のように、そっぽを向いてしまった楽。百は口元に指先を当てて、ぷくくと笑い愉快そうに揶揄う。
「楽は独占欲が強めですなあ。他のメンバーと同列は不服?」
「そりゃ、まぁ…。普通、そうっすよね?」
楽の視線は、何故か大和を捉える。
「な、なんで俺!?
えーと、どうなんだろ。この問題は、お兄さんにはちょっと難し過ぎるかな。はは」
「大和さん!ファイトです!」
「ちょっと、なに応援してくれちゃってんのマネージャー!?
あぁもう…!やっぱそこは、頭一つ分くらいは他のメンバーよりも愛して欲しいんじゃないでしょうか!」
これでいいんだろ!と、大和は位置のずれた眼鏡を元の場所に押し戻し言った。
楽は、やっぱりそうだよな。と、胸を撫で下ろしている。