第115章 最高のアイドルを
了と士郎がじゃれ合っている中、宗助は私にそっけなく言い放つ。
「お前はどうなんだ」
『どう、とは…』
「決まっているだろう。やりたいのか、やりたくないのかだ」
Re:valeこそが元々の発案者なのだから、ここは大人しく岡崎事務所に委ねるべきなのかもしれない。いや、万理のヒントがなければ武道館なんて夢のまた夢だったろう。だから、小鳥遊事務所に任せるのが筋か?それとも、この中で最も優れた手腕を持つであろう了と士郎に譲るのが正解か。
どれが正解かなんて、私には分からない。しかし、分かりきっていることだって確かにある。
『私に、どこまで出来るか分かりません。しかし、姉鷺さんやここにいる皆さんの力を借りて、やれるところまでやってみたい。行けるところまで行ってみたい。
フルフェスの取り仕切り、ぜひ私にやらせていただけないでしょうか』
1番最初に手を叩いたのは紡だった。そして小鳥遊社長や士郎、凛人がそれに倣う。拍手はどんどん大きくなって、最後には全員が頷いてくれた。
凛太朗は、今回だけは譲ってあげると零し、了は、根をあげたらいつでも代わってやると息巻いていた。それでも、責任重大の大役を私に任せてくれたのだ。
今までにない大仕事に、怯んでいないといえば嘘になる。しかし、大切なアイドル達の為。そしてそのアイドルを愛してくれるファンの為。私は全身全霊の力をもってして事に挑むと、拍手が響くこの会議室で決意を新たにしたのだった。