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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第115章 最高のアイドルを




「……過去に拘るたちではないけど、あんたのしたことを俺はまだ完全に許したつもりはないぞ」

「過去に拘るのはやめた方がいいよ?人間が小さく見えるからね」


ますます険悪度を増した2人に、私が口を挟むのはお門違いだろう。
士郎が、溜息交じりに自らの社長を嗜める。


「他所様の社長に対してそのような言動は、頂けませんって」

「う、うるさいな。僕の吐いた毒の事後処理で頭を下げるのが、お前の仕事だろ」

「毒を吐いている自覚があるなら、やめて欲しい…」


再度 溜息を吐いた士郎は、岡崎事務所の2人に頭を下げる。すると、それにすぐさま凛人が反応。


「いやっ、頭を上げてください!うちの社長も悪かったんですから。目立ちたがりで、無駄に偉ぶりたがりで、いつも周りにご迷惑を…!」


凛人と士郎は、いやいやうちが…いやいやこちらが…と、いやいや合戦をしている。その隣では凛太朗が悲痛な面持ちで、俺に味方はいないのだろうかと1人嘆いていた。


「じゃあ、気を取り直して。
今回のフルメンバーフィスティバルは、アイドル達にとってもファンにとっても、今までにないほどの夢のようなライブになる」


小鳥遊社長の言葉に、ほとんどのメンバーが首を縦に動かした。八乙女宗助は、なぜお前が仕切るんだと不服そうである。


「フルフェスという名前に負けない、誰にとってもお祭りみたいに楽しい一大イベント。そんな一世一代のライブを行うに当たって、まずは総指揮者を決めないとね。
僕は春人くんを推したいと思うんだけど、他の皆んなはどうかな」


突然の名指しに、ぎょっと発言者の方を見る。彼は、目を糸のように細めてにこにこといつもの笑顔だ。


「はい!私も、社長の意見に賛同です。中崎さん!ぜひお願いします」


紡までもが、ぎゅっと拳を握りながら私を推した。

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