第115章 最高のアイドルを
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「君のところの社長 無茶苦茶だ。ねぇ、これを機に転職してみない?平たく言えばうちに来ないか」
『来ないでしょう。その強引な勧誘、Re:valeの2人そっくりですね』
私は、凛太朗を駐車場まで送り届ける。そんなところへ、2つの靴音が近付いて来た。
「僕達がどうしたって?」
「やっほー!春人ちゃんっ、少しぶり!」
『!』
そこに現れたのは、百と千だった。私は彼らに挨拶をしようと一歩を踏み出したのだが、凛太朗がそれを遮る。
「困るな。勝手に2人と会話をされたら。これは俺のだから」
『まだしてませんよ』
「「これって言うな」」
2人は残念ながら、普通に牙を剥いた。しかし凛太朗はめげずに2人を手招きする。
「百、君はここにおいで。俺の左。それから、千は右だ」
「春人ちゃん。これが迷惑かけなかった?」
「遅くなってごめんね!本当はもっと早く来るつもりだったんだけど、収録が長引いちゃって」
『あ、えっと…さすがに、無視は可哀想では?』
Re:valeの2人が凛太朗ではなくこちらに来てしまったものだから、居た堪れなくて私は彼の方を見れなかった。
「こらこら。どうして君達は俺の言うこと聞いてくれないかな。社長自らが立ち位置を指示していますよ?」
「僕に立って欲しい場所があるなら、あらかじめバミっとけよ」
「他社さんの駐車場に?それは無理でしょう」
「あっ!今日の春人ちゃんのネクタイ、おニューでしょ?むちゃくちゃ似合ってるよ!格好良い!」
初めて見るわけではないが、相変わらず2人の社長に対する態度は、とてもじゃないが社長に対する態度とは思えなかった。