第115章 最高のアイドルを
「大体、こちらがTRIGGERの参加を決めたとしても、実現が難しいことには変わりがないでしょう」
「え、参加してくれるんですか?」
「………」
「すみません。例え話ですよね。続けてください」
社長が危惧していることは、私としても気になっていた。さきほど凛太朗から貰った資料も、そこには触れていなかったから。
「とんでもない数のファンが集まるでしょう。いま最も勢いのある4グループを揃えるわけですから。
それだけ多くの人間を収容出来る会場に、当てがあるんですか」
「ああ、それは…」
しかも、キャパが大きければ良いという問題でもない。収容人数の多さに加え、複雑な舞台演出が可能であり、さらには音響クオリティなどの要素も捨て置くことは出来ない。
それら全てを兼ね備えた会場となると、候補地はそう多くない。
「これから一緒に考えましょう」
「話にならん」
「あぁ待ってください。当てとは少し違いますが、一応希望している会場はあるんです」
「そうですか。それは?」
「……ぶ、武道館なんて ドウカンな」
ここに来てこの男は、クソ寒いダジャレを放った!しかも無理矢理にも程がある!
「…っふ、ふははは!」
「え、え?今の、そんなに面白かったですか?」
「武道館と来ましたか。それは大きく出ましたな!いや、いいでしょう。他事務所グループとの共同とはいえ、武道館でライブを行ったとなればTRIGGERに箔も付く。
もしも貴方がたが武道館を押さえられれば、TRIGGERもそのフルフェスとやらに喜んで参加させていただきましょう」