第115章 最高のアイドルを
「ですから、ね?世間の皆様がまたアイドルに良いイメージを持てるように、ここはひとつ八乙女プロさんのご協力を」
「くどいと言っている。今回の企画への参加の是非と、コレを関連付けて話すのはやめてもらいたい」
コレ呼ばわりな私は、凛太朗に向けて密かに小さく舌を出した。
「大体、断った場合のデメリットがうちに一切ない。どうしても参加して欲しいと言うならば、ツクモのようにもっと強力な脅し材料を揃えてから出直してもらいましょうか」
「……俺にあんな卑劣な真似は出来ませんって」
彼は、負けを認めたように溜め息を吐いた。
場の空気がやや弛緩しただろうか。この様子では、社長対社長のバトルはここで終わりのようだ。
と、思った矢先。私は、凛太朗の目がまだ死んでいないことに気付く。
「ねぇ、春人くん」
「!!」
「君はこの企画、どう思った?個人的な答えでいい。聞かせてくれないか」
凛太朗は、にやりと唇を歪める。まるで、私がどう答えるのかもう分かっているようだ。
社長は、コレに話を振るんじゃないと苛立っている。彼もまた、私がどう答えるのか予想がついているのだろう。
『私は…観て、みたいです。彼らがこのステージで、どんな世界を作り上げるのか』
「だよね!!」
「…はぁ」
2人は、対極的な反応を見せる。
『それにこれは、私の過去の失態を尻拭いする為の企画なのですよね。私が責任も果たさずアイドルを放り出したせいで、今をトキめくアイドル達に迷惑をかけ続けるのは申し訳ないとそれはもう常々思ってい』
「ごめんって。まかり間違って八乙女パパがOKしてくれないかなって思っちゃったんだって」