第15章 俺…もしかしたら…、ホモなのかもしれない!
セットとして用意された、西洋風の寝室。その部屋の中央には、白を基調とした豪華なベットが置かれている。
春人がベットへと寝転がり、スタッフが服のシワを整えたり 髪をシーツに広げたりしている。
俺はその間に、シャツを脱ぐ。指定された通り半裸になった俺は、ぼんやりと春人を眺めていた。
『八乙女さん、来てください』
ぼんやりしていた俺に、天井を見たまま言った。
髪や服をセットしてもらった春人は、動く事が出来ないのだろう。
「あ、あぁ。なんかその言い方、嫌な感じだな」
言われるまでもなく、俺は今からこいつの上に乗っかる事になるのだが。“ 来て ” とか言われると、相手が男だと分かっていても 変な気持ちになる。
俺がベットに足をかけると、ギシリと スプリングが軋んだ。その音を聞くと その気持ちは余計に大きくなった。
『ベットの上で人を見下ろすのは慣れているでしょう。いつも通りにすれば良いんですよ』
「あのなぁ。あいにく俺は、男の上に乗る事になんざ慣れてねぇんだよ」
長い髪を踏んでしまわないように、ゆっくりと春人の上に到着した。
なん、だ…こいつ。本当に男か?こんなに綺麗な男が、この世に存在するのだろうか。大袈裟でもなんでもなく、ちょっとした衝撃だった。
『ふふ、そうなんですか?』
俺の下で、くすくすと笑う春人。そんな柔らかい仕草も、より一層こいつを女に見せた。
「お前…、本当に 男か?」
つい、そのままの気持ちが口を突いて出た。
『…女ですよ』