• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第112章 幸せでいて




『まぁ、今すぐにTRIGGERがどうこうなる話ではないですけど。でもそれでも、ある程度の影響はすぐに現れてくると思いますよ。今日のフェスは、動画撮影が許可されていました。だからアレもすぐに拡散されるでしょう』

「今後のことを今この場で決めるのも無理があるしね。とりあえず事務所に帰ろうか。なんだか、どっと疲れた…」

「俺のせいかよ」

「他に誰のせいだと思うの?」

「体力がない自分のせい、とかじゃねえか?」

「肉体的じゃなくて、精神的に疲れる要素しかなかったんだけど」

「だったら嫌味ったらしい言い方しないで、最初からそう言えよ。大切なファンに平気で嘘を吐き過ぎて、性格が捻じ曲がったんじゃねえか?」

「は?」


そろそろ龍之介の御家芸 “まぁまぁ!落ち着けよ2人とも!” が出る頃だと思ったのだが。彼は懸命に、何か考え込んでいる様子だった。その様子に気付いた2人も、自ずから喧嘩をやめて龍之介の顔を覗き込む。


「あっ、ごめん。ちょっと考え事してた。
それでさ…悪いんだけど少しの間、春人くん…じゃなくてエリと2人で話がしたいんだけど、いいかな?」

「あぁ。分かった」

「楽、そんなふうに即答していいの?
龍とエリ。2人きりで、だよ?」

「は?どういう意味だよ」

「べつに。ただボクなら、楽じゃなくて龍を選ぶって思っただけ」

「なるほどな!よし分かった。俺達はあっちでさっきの続きやろうぜ」


私と龍之介が話している間に、2人が殴り合いの喧嘩でも始めてしまったらどうしよう。
なんて、そんなことには絶対にならないと分かっている私達は、顔を突き合わせて苦笑した。

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp