第112章 幸せでいて
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その翌日。TRIGGERの本日のスケジュールは、とあるフェスへの参加だ。屋外で行われるこのフェスは、大小いくつものステージから成り立っている。3人が割り当てられたのは、最も大きなメイン会場。ここで彼らがフェスのトリを飾る。
それらはこちらから指定したわけではなく、運営側たっての希望であった。今回のように、私が売り込みをしなくてもTRIGGERには大きな仕事が舞い込む。それが最近の常になっていた。
そんな現状であるから、私はどうしても期待せずにはいられない。TRIGGERが、日本一のアイドルになる日は近いのではないだろうか。そんな願望が、胸を支配して仕方ないのだ。
「わぁ!凄い熱気だね!」
「俺達も負けずに盛り上がっていこうぜ!」
「観客との距離が近いのは、やっぱり嬉しい。今日は特に、気持ち良く歌えそう」
『いつも気持ち良さそうですよ?』
私がにこっと微笑むと、天も柔らかい息を零す。それから、確かにそうだねと頷いた。
楽が、龍之介と天の背中を軽く叩いた。リーダーが、よし 行こうぜ!と気合いの入った声を掛ければ、TRIGGERの士気はより高まる。
私は、設営テントからステージに駆けていく3人の背中を見送った。