第15章 俺…もしかしたら…、ホモなのかもしれない!
時間にしてちょうど15分。私は急いでスタジオへと戻る。
駆け足で飛び込んで来た私に、スタッフ達やカメラマンの視線が集まる。
「あ、君が代打のモデルさん!?」
『は…はい。そうです。よろしくお願いします』
カメラマンは、私が中崎春人だと気が付いていない様子。どうやらちゃんと女に見えているらしい。
いや、元々は女なのだから、当然といえば当然なのだが!
私が現れた事で、撮影の準備は着々と進んでいく。
「え…嘘だろ!本当に春人くん!?」
龍之介は目を丸くして私の姿を凝視している。
「……本物の女みてぇだな、どうなってんだその胸」
楽は、サラシが巻かれていない私の胸を指差して言った。
『貴方が気になるのはそこなんですか…さすがですね』
まぁなんにせよ、こっちが本来の性別なのだとバレていないのだ。万々歳ではないか。なんて…ほっとしたのも束の間。恐ろしい事態に陥る。
「あはは!本当だ、作り物とは思えないな。まるで本物だ!」
『っっ!?』
龍之介が、その大きな両手の平で 私の胸を盛大に揉みだしたのだ。
突然の事に、私は声も出せないで固まる。
「凄いな、感触もまるで本物だ」
「はは!まるで本物だっつったって お前、本物触った事ねぇだろ」絶対
なんて楽しげに雑談している2人だが。笑っているのは2人だけだ。
私と、周りのスタッフはその異様な光景に息を飲んでいた。
「おい見ろよTRIGGERの十龍之介…。モデルの乳揉みしだいてんぞ」
「うわ、まじだ…。さすがエロエロビーストの名を欲しいままにしてんな」
「いいなぁ…私も龍之介になら揉まれたい…。なんちゃって」