第110章 どんな時もそばで
エレベーターの扉が開き始めると、狭い隙間に体をねじ込んで廊下へと飛び出した。着いたのは、最上階。外に繋がる扉を見つけるやいなや、勢い良く地面を蹴る。急いでいるはずなのに、歩みが限りなく遅く感じた。
ようやく辿り着いた、屋上と廊下を繋ぐ扉。それは大きくて重くて、私は両手を使ってドアノブを渾身の力で引く。
ぶわっと、風が全身にまとわりつく。薄暗かった廊下のせいで、外の光が目に突き刺さった。暴れる髪を後ろに払って、痛む目を懸命に開く。
彼らは、いた。
太陽なんか目じゃないぐらい、眩い彼ら。
太陽なんか目じゃないくらい、温かい笑顔を浮かべて。
ボロボロと、ずっと堪えていた涙が両目から零れてしまう。雫と一緒に嗚咽も零す私の元に、3人は歩み寄った。
もうほとんど前が見えなくて、倒れ込むようにして彼らに体を預ける。3人はしっかりと、ぐずぐずの私を抱き留めた。
『っう、…ぁ、!なんで…こんな、こと』
「言ったでしょう?いつでも、そばで応援してるって」
『あん、なのは…っもう、応援とかじゃ、な…!ずびっ…、新曲も、…勝手に、お披露目しちゃっ』
「はは。悪くなかったろ?」
『私に、内緒で…こんなの!うぅ、びっくりして…ぇ!』
「エリが知ったら絶対に許してくれなかっただろ?だから、内緒で進めてたんだ。本当に色んな人達に協力してもらったんだよ」
3人に支えてもらいながら、なおも私は落涙し続けた。いつまで経っても治らないので、天が心配そうに顔を覗き込んでくる。
「大丈夫?」
『大丈夫じゃ、ない…!私、あんまり泣かない方だけど…これは、こんなのは…、泣く!! ぅ、ぅえっ、ぅう〜〜っ!ありが、とう。ありがとう〜〜!!ぅぁぁーんっ』
彼らは笑って、より一層強く私を抱き締めた。