第110章 どんな時もそばで
記者達が全員、沸いている。会場はもう荒れに荒れ、皆が口々に言いたいことを言うものだから、誰も何も聞き取れない。私はかろうじてマイクを握ったものの、金縛りにあったみたいに動けなかった。
記者達も、まさか会見に芸能事務所の社長2人と副社長1人が現れて声明を発表するなんて思ってもみなかったのだろう。驚くのも無理もない。その中でも、1番驚いているのは私なのだが。
しかしまだまだ、私や記者を驚かせる出来事は終わらない。頭上から機械音がすると思ったら、なんとプロジェクターが降りてくる。当然だが、私の知る計画ではこんな物を使う予定はなかった。
一体何事だと、カメラマンはそれを画角いっぱいに捉えた。あれだけ煩かった場が、嘘のように静まり返る。その隙を見てカメラの前から退いた私は、社長に小声で問う。
『こ、これは一体、次は何が始まるんですかっ』
「黙って見ていろ」
『こんなことっ、取り返しがつきませんよ…!TRIGGERも、八乙女プロも、私と共倒れしてしまう!』
「仕方がないだろう。奴らが、どうしてもと言って折れなかったんだ」
『え?』
「見届けてやれ。あれが、あいつらの覚悟だ』
彼が何を言っているのか、検討が付かない。次々と頭に浮き上がる疑問符。私が次の質問を投げようとした時、プロジェクターに、彼らの姿が映し出された。