第110章 どんな時もそばで
「他社の人間が、どうも失礼いたします。小鳥遊プロダクション社長、小鳥遊音晴と申します」
空席の2つ目を埋めたのは、なんと彼であった。私はもう目の前の記者陣と同じく、事の成り行きを黙って見守る他ない。
「私はこの場に、自社のアイドル達の声を持って来ました。窮地の彼女が1人きりでカメラの前に立つと聞いて、どうしても言いたいことがあったそうで」
彼もまた、八乙女宗助と同じように紙の束を机の上へ置いた。
「声を上げたのは、IDOLiSH7の7人です。まさか全員をこの場に連れて来るわけにはいかなかったので、私が代わりに出向きました。その声は全て当社のホームページに載せますので、ぜひ閲覧しに来てください。
彼らは、声を揃えて言っていました。中崎さんは、世間で言われているような人間ではないと。実際に、他事務所でもある彼らのことを彼女は何度も救って、助けてくれました。
テレビの前にいる皆さん。どうか今一度、彼女の楽曲を聴き、慕う者達の声に耳を貸して、考え直してください。
彼女は今も歌を大切にし、業界を支え、アイドルを愛しています」
彼が言い終わると同時に、待ちきれなかったと言わんばかりの勢いで、3つ目の席が埋まる。
最後に現れたのは…
「ツクモプロ社長の、月雲了だ!」