第109章 ……………あ
「今ある情報をまとめますと…
①中崎エリがLioであることはバレている。
②中崎エリが春人であることはバレていない。
③中崎エリの入院中、八乙女楽が何度も見舞いに来ているところを写真に撮られた。
④中崎エリが、TRIGGERのプロデューサーであることは知られていない。
くらいでしょうか?」
『①と③は確定。②と④は希望的観測かな』
「例の看護師さんの手紙を、全くの真実だと信じ込むのは危険だと思う。全部バレてると思って対策を立てた方が安全かもね」
一織は、天の意見に同意し頷いた。
情報を整理したところで、いよいよ具体的に対策を立てていく。
「確かにこの記事が世に出れば、世間のLioへのイメージは悪くなるでしょうね。今までお世話になった関係者に、何の説明もなく姿をくらませた訳ですから」
『面目無い。私がどれほど石を投げられようが、罵られようが虐げられようが、それはいい。ただの自業自得でしかないんだから。でも、嫌悪される対象がTRIGGERになるのは駄目』
イメージがダウンするのは、私までで留めたい。飛び火だけは絶対に避ける。その為には、どうすれば良いかを考えなければ。
「やはり1番は、記事が世に出ないよう手を回すことでしょうね」
『やっぱりそうだよね…』
「あなた、人の弱みを見つけ出すのが得意でしょう?」
『え?得意』
「でしたら、そのいつものやり方で記事自体を握り潰せないんですか?」
「いくらエリが、脅す騙す鎌を掛けるのが得意で、まるで昔の暗部みたいだとはいっても今回はさすがに時間が足りない」
『そうなんだよなぁ。せめてあと1ヶ月時間があれば、狸親父の痛い腹を見つけ出してやるのに』
「仮に痛い腹がなくとも、あなたならその手で痛い腹を作り出せてしまいそうですよね」
『あはは、照れるなぁ』
「ふふ、キミの得意分野だよね」
そんなやり方は良くないよ!とか、怖い会話はやめろとか、そういう類の発言をするピュアな心の持ち主は、今は不在である。