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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第109章 ……………あ




狂人に病人認定されてしまった私が、引き続き場を取り仕切る。


『それで、了さんが私達2人にわざわざアポを取った理由は何ですか?』

「あまりに脱線するから忘れるところだった。今日は、僕から君達にプレゼントを持って来たんだ!」


首を傾ける私達の前に、了はバサリと茶封筒を置いた。社長の目配せを受け、私は中身を改めさせてもらう。中からは、白黒の写真と文字が並んだ記事らしき物が姿を現した。

写真には、目に黒のぼかしを入れられた女性が写っている。それは、誰がどう見ても “私” であった。

《 大スクープ!ついにあの幻のアイドル “Lio” の正体が明らかに! 》


「面白いでしょ?僕が極秘で手に入れた、来週号のMONDAYに載っかる記事のゲラ」

「な、なんだ、これは!おい!楽も写ってるじゃないか!」


背景からして、病院だろう。私の病室から、楽が出て来る様子が写真には収められていた。
もう少し詳しく、記事の内容を読み込む必要があるようだ。

まず、写真は2枚。私が犯罪者にされたみたいな1枚と、さきほど社長が言ったように楽の姿が写ったもの。

記事の内容を簡単にまとめると、以下の通り。
最初の記述は、Lioについてのおさらい。先日も世間を騒がせた、一夜で消えた謎の実力派アイドルについて。褒めてもらって大変恐縮だが、私のフルネールが本名で記載されている。こちらに人権などあったものではないな。
それから最もまずいのが、私が八乙女プロやTRIGGERと深く関わっていると記されている部分だ。

この記事、Lioに対してかなり悪意がある書き方をされている。Lioをスカウトする為に、破産寸前にまで追い込まれた芸能プロダクションがあったこと。表舞台に立てるという寸前で、まるで逃げ出すように姿をくらましたこと。今まで世話になった各種方面にろくな説明もしなかったこと。

これら全て真実なのだから、この記事、よりタチが悪い。これを読めば全員が全員、Lioに悪い印象を抱くだろう。そんな女とTRIGGERが共にいるなんて、マイナスイメージも良いところ。群衆には絶対、知られるわけにはいかない。

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