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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第14章 俺は、あんたより すげぇアイドルに ぜってーなってやる!




いつまでもこうしていたかったが、そうも言っていられない。彼は未成年だ。遅くまで連れ回すのは さすがに気が引ける。


『そろそろ行こうか?』


私が立ち上がって、テーブルの上の伝票に手を伸ばすと。彼の長い腕が先にそれを取り上げる。


「待てって!どこの世界に、好きな女に飯 奢らせる男がいんだよ!俺が払う」


ふんぞり返って環がのたまう。


『いや待って!でも誘ったのも私だし、そもそも約束の時間に遅れちゃった償いのつもりで』

「あーもー、えりりん うっせー。それ以上なんか言ったら、その口塞いでやんよ」


ピタリと、喋るのをやめた。


「うん。それでよし」


環は満足そうに、レジの店員に伝票を渡す。


『…じゃあ私は、外で待ってるから』

「ん」


私は環を店内において、先に店を出るのだった。



「…っち。塞いじゃえばよかったのに」

「ん?なんか言った?」

「あ!いえ、何でもありません!こちらお釣りですー、ありがとうございましたー!」

「…??ごちそーさまでした」


やがて、店員と会話としつつ 会計を済ませた環が外に出てくる。


『ごめんね、ご馳走様でした』

「こんくらい余裕だから!俺お金あるから!」

『あはは、アイドルだもんね。ありがとう』


…私が知らない内に。環が男の子 から、男の人に成長したみたいだった。
女の人にお金は出させない、なんて…。本当に、格好良くなってしまったものだ。


『じゃあ帰ろっか!』


私は環にヘルメットを渡すと、彼は また喜んでバイクに跨るのだった。

私は 彼を後ろに乗せ走り出す。そして、また来た道を辿って 小鳥遊事務所へと帰るのだった。
環に気付かれないよう、少しだけ遠回りをして。

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