第14章 俺は、あんたより すげぇアイドルに ぜってーなってやる!
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一度 環とあの時の少年が結びついてしまえば、どうしてすぐに気付かなかったのか不思議だった。
どんどん彼と過ごした時間の記憶が、鮮明に蘇る。
『懐かし過ぎる…。いやでも、あの小さかったタマちゃんがこんなに大きくなるなんて!いま身長いくつあるの?』
「183ー」
『でかい…』
「なぁ、プリンアラモード食っていい?」
『いくつでも食べなさい』
本当に…感慨深い。でも、変わってないところもたくさんある。
ちょっとたどたどしい喋り方も、色素の薄い瞳の色。あとは、プリンが大好きなところとか。
『そうだ!アヤちゃんは元気?今は一緒に住んでるの?』
到着したばかりのプリンアラモードを食べる彼の手が止まった。
「…今は、どこにいっか 分かんない」
『えっ…』
説明下手な彼の話をまとめると、彼女は養子として養護施設から引き取られていったらしい。しかし、引き取り先が経営する会社の倒産により、突如として連絡が取れなくてなってしまったようだ。
『……そっか』
妹の事が大好きな環の 今の胸中を考えると。言葉が出てこなかったのだ。
「俺が、アイドルやってる理由の いっこ。有名になって、理にテレビで見つけてもらう」
環らしい、豪快な作戦だな…。
「あともういっこの理由は…
あんたを探すため」
『私を?』
遠慮の無い、真っ直ぐな視線がこちらへ向けられる。
「アイドルやってたら、いつかぜってー会えると思ってた。
な?やっぱり会えただろ。俺達」
目を閉じて、ニコっと子供みたいに笑った。