第14章 俺は、あんたより すげぇアイドルに ぜってーなってやる!
そんな馬鹿な俺の前に、彼女はゆっくりとしゃがみ込んだ。すると、俺達の目線の高さが同じになる。
『またね、って言ったのは 嘘じゃないよ。私達、きっとまた会える。だから、その間だけの サヨナラ』
ふわりと、髪を撫でられる。
いつもなら嬉しいこの行為も、今は無性に腹が立った。なんだかあやされてるみたいで。子供扱いされてるみたいで。
いや、実際にそうだったんだろうけど。
だからこそ、今 言わなくちゃって思った。
「…俺がさ、朝起きて、毎日1番に思い浮かべるやつは、あんただ」
『……!』
目の前にある彼女の顔が、驚きの色に染まる。
「俺も大っきくなったら、アイドルになる」
『えぇ?』
「そんで!あんたよりも早く、あんたよりもすげぇアイドルになったら…
あんたを迎えに行くから!そのときは…俺と、結婚してくれよ」
面食らったままの彼女を置き去りに、俺は勝手に堂々と宣言する。
俺は、暴れる心臓を押さえつけて エリの言葉をただただ待った。
『…ふふ、あはは!うん、うん…分かった。でも、タマちゃんが本当に その条件をクリア出来たらね』
「!!分かった!約束だかんな!
俺は、あんたより すげぇアイドルに ぜってーなってやる!」
これが、俺と彼女の出会いの物語だ。
でもまさか、感動の再会を果たしたというのに エリが男の格好になってるとは予想もしてなかったよな…。
はっきし言って、めちゃくちゃビビった。
それでもやっぱり 根本は変わっていなかった。笑った顔とかも昔のままだったし、こんななりしてても 綺麗だ って思った。
でも、不思議なのはやっぱり…アイドルをやってないってこと。もしかして、俺とのサヨナラ期間中に 何かあったのか。
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