第107章 引き金をひいたのは
「そんなスポンサー用みたいな営業スマイルをオレらに向けて、早くこっから人を追い出したい理由って何だよ。あげくの果てに、気持ち作らないと?TRIGGERの九条天だぜ?本番の1時間前に気持ち出来てないわけだろ」
「っ…」
「あんた、そんな嘘吐くの下手な奴じゃなかったじゃん。上手に嘘吐く余裕すらないんだろ?そんくらい追い込まれてんだろ?
教えろ。九条天。あんたらが今、どんなことに巻き込まれてんのか。それから、オレらに出来ることが何なのか」
じわっと、目頭が熱くなるのを感じた。ふと隣を見ると、トウマが嗚咽を漏らしている。
「う、うぅ、ハル…!大人んなって…。ヤバイ、カッコ良過ぎる。あ、十さん、あれウチの子なんです。めちゃくちゃ良い子だと思いません?」
「うん、うん…!良い子だよ!すごく良い子だ…っ」
「和むのやめて」
「和むのやめろ!」
向かい合っていた天と悠は、息ぴったりで言い放ちこちらを向いた。
「ご、ごめん!つい…
悠くんの気持ちは分かったし、すごく嬉しいよ。でも頼ることは出来ない。危険なんだ、とても。だから」
「あの…。俺からも良い、かな。
俺達は、TRIGGERに対して取り返しのつかないことをした。その自覚はあるよ。今さら、どんな償いをしたってなかったことに出来ないってことも分かってるつもりで。でもやっぱ、あんたらが困ってるんだったら力になりたい。貸しとか借りとか、そういうの関係なく、何かしたいんだよ!
だから、頼む。何があったのか、教えてもらえねぇかな」
俺と天は、顔を見合わせた。そして、全ての事の成り行きを2人に打ち明けるのであった。
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