第105章 幸せになれると思う未来を掴み取るだけ
私は、ディスプレイにある千の名前を凝視する。
『なんか、やたらと千さんから連絡が来るんですよね』
「ふぅん。それって、いつくらいから?」
『そうですね…。確か、3ヶ月前くらいからでしょうか』
私の答えを聞いた3人は、じっと押し黙る。
「……」
(いやそれって普通に考えて)
「…っ」
(お、俺と別れたくらいのタイミングじゃないか!?)
「春人、お前それ…。モ、モーションかけられてんじゃねえか?」
あまりに深い皺を楽が眉間に刻むものだから、私の口元は軽く緩んでしまう。
「ちょっと。笑ってる場合?気を持たせるのも悪いし、早めにはっきり断れば?」
『いや…まだそうと決まったわけではないのに、こちらからそんなこと言うのは、ちょっと』
「うわぁ、俺も分かるなぁ。その気持ち」
『ですよね』
龍之介は、ふにゃっと笑って私の意見に同意してくれた。しかし、天の鋭い眼光が私達に突き刺さる。
「キミ達、何ぬるいこと言ってるの。だいたいプロデューサーのキャラじゃないでしょ。いつからそんな人たらしになったの。他人に気を許し過ぎるから、簡単に好きになられるんじゃない?初期に張ってたゴリゴリのバリアどこやったわけ」
『と、溶けた?』
「なら今すぐ張り直して」
天は、私を魔法使いか何かと思っているのだろうか。龍之介が、また柔らかい笑顔で場を和ませにかかる。
「あはは。バリアね!張ってた張ってた!懐かしいなあ」
「あぁ。マジで最初は取っ付きにくかったもんな、あんた」
好き勝手言ってくれる3人。私は不服申し立てをするように、頬を少し膨らませてもごもご言う。
『勝手なことばかり、言わないで下さいよ。人のバリアを溶かしたのは、貴方達のくせに…』
「「「……」」」
(か、可愛い…!)