第105章 幸せになれると思う未来を掴み取るだけ
環が、私の耳に口元を寄せる。
「最近テレビ局とか街中で、めっちゃLio Lioって聞くんだけど…。なんか、Keiって奴が、生放送中にLioの名前言ったからだって、そーちゃんが言ってた。
なぁ、えりりん平気?大丈夫?誰かに正体バレたりしてない?」
この内容と同じ質問を、実は最近 百からもされていた。Lioの名前が電波で流れてしまい、予想外の形で世間にその名が認知されてしまった。それにより、私が思っていたよりも多くの人間に心配を掛けているようだ。
『大丈夫だよ。心配かけてごめんね。今のところバレてないし、世間も忘れてくれつつあるから。気に掛けてくれてありがとう』
「そ、っか。なら良かった。もし、俺に出来ることがあったら、すぐ言ってな。あんたの為だったら、いつでも駆け付けてやんよ」
『ふふ、ありがとう。タマちゃんは優しいなぁ』
「へへっ!当たり前じゃん。男は、好きな人の為だったら、何でも出来るんだぜ!」
鼻の下を指で擦りながら、胸を張る環。微笑ましくて、ほっこりしてしまう。が、そんな気持ちになっている場合ではない。もし私が、楽と付き合うようなことがあれば環も深く傷付くだろう。
『って、ありえない!それはありえないから!』
「うお、急にどうしたんえりりん。マジで平気?ストレスとか溜まってる?王様プリン馬鹿食いする?バッティングセンター行く?カラオケは?」
環が、普段どのようにしてストレスを発散しているのか手に取るように分かってしまった。