• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第14章 俺は、あんたより すげぇアイドルに ぜってーなってやる!




「ふぅ、美味しかった…ご馳走さま!お腹いっぱいになっちゃった」


ペロリと丸々ひとつ平らげた理は、自分のお腹をさすっている。


『お願いだから、この後出される晩御飯もちゃんと残さず食べてね。私がおばさんに怒られちゃう』


後から分かった事だが、彼女は この施設で心理士をやっている女性の親戚らしかった。
いつまで経ってもこの場所に馴染めない俺達の 遊び相手になる為に呼ばれたらしい。


「ねぇ、お姉ちゃんは、なんていうお名前なの?」


そうだ。俺もずっと気になっていた。彼女はまだ名乗っていないではないか、と。


『あっ、これは失礼…。まだ自己紹介してなかったね。
私は中崎エリっていうんだ。

中崎さんでも、エリちゃんでも、お姉ちゃんでも、えりりん でも、好きなふうに呼んでね』

「「じゃあ えりりん」」

『うーん、やっぱり兄弟だねぇ君達』チョイスが



彼女はそれから 毎週の土曜日、俺達に会いにやって来るようになった。

そして、施設側の思惑通り 俺達は簡単に彼女に懐いた。

彼女といると、心地良かった。まるで母親といた時の自分に戻れたようだった。
だから、最初はこう思っていた。俺は、彼女の事を母親の代わりにしているのだと。

これは “ 愛 ” などではなく “ 親愛 ” なんだと。


「ねぇねぇ、えりりんは、ピアノが凄く上手だよね!たくさん練習した?」

『したしたー、たくさんしたよー。もう白と黒見たら吐きそうになるぐらいしたよ』


そんなふうには見えないくらい楽しそうに弾いていたから、その言葉は少し意外だった。


「じゃあ、ぴあにすと、になるの?」

『ん?違う違う。私はね…』

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp