• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第14章 俺は、あんたより すげぇアイドルに ぜってーなってやる!




『アヤちゃんは、男の子にいじわるされても泣かなかったから。
それにタマちゃんは…、間違わなかったから』

「…間違わ、なかった?」


どうして彼女が、俺や理の名前を知っているのか。とか細かい事は気にしなかった。


『うん、さっき…アヤちゃんがイジメっ子に捕まりそうになった時、迷わず妹を守りに戻ったでしょ。
男の子に報復をする事を優先しなかった。偉かったよ』

「……ホーフクって、なに?」

『あはは!ちょっと難しかったか。ま、あれだね。簡単に言うと…
頑張ってるタマちゃんカッコ良いなぁ!って、事』


彼女は俺の手の中のプリンを、すっと自分の手に戻すと。封を開けて、ひと匙すくった。
そして俺の口元へ、それを近付ける。


『だから、これはご褒美。王様プリン、嫌い?』

「…ちょう好き」


俺はゆっくりと口を開けた。


母親が、よく買ってきてくれていた王様プリン。言うまでもなく、俺も理も大好きだった。でも、ここへ来てからずっと食べていなかった。

分かってたから。これを食べたら…思い出してしまうって。

風邪の日に母が食べさせてくれた。母と理と3人で、おやつに食べた。母に隠れて 黙って隠れて食べた、あの時の王様プリン。

そう。この味は…あの時のプリンの味と何一つ変わっていない。


「…っ、…ぅ、…ぅうっ、…」

「…兄ちゃん…?どうして泣いてるの?」

「王様、プリンが…っ。美味すぎて…!」


俺は、ボロボロとこぼれ落ちる涙を誤魔化すように、残りのプリンを口の中にどんどん掻っ込む。


『…さ、
次は何を弾きましょうかね』

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp