第104章 爽やかな笑顔だな
そこからも、私達は少しだけ話をした。
もうメディアでLioの名前を出さないと約束してもらったり、この電話の件は絶対に秘密にすることなど。
さきほどまで猛獣のようだと感じていたKeiだったが、今度は従順過ぎて怖いくらいだ。憧れの人のお願いなら、どんな物でも叶えるのが当たり前と言わんばかり。
『あと、これからの活動は何か考えてるの?』
《 そこなんですよね…いくつかデビューの話はもらってるんですけど、決め兼ねていて 》
『もし困ったら、中崎春人に相談するといいよ。きっと力になってくれるから』
《 ………ぇえ? 》
『め、めちゃくちゃ嫌いじゃん!』
ここまで私を好きだと言ってくれる人に、ここまで嫌われている事実は なかなかショックだ。
《 あの。不躾な質問を、ひとつ良いですか?》
『うん?』
《 Lioさんと、あの人って…その、どういう関係なんですか? 》
これは、難しいというか、答えにくい質問である。
『そうだなぁ。私の次に、私のことをよく知っている人間。かな』
《 ??? よく分かりませんけど、こ、恋人…とかではないという解釈でいいですか? 》
『あ、はい。いいです』
《 そうですか!分かりました!それなら、あの人のことも信用出来ます!だってLioさんが大切に想われていて、信頼されている方ですもんね! 》
『あ、あはは…』
私はひたすらに、苦笑いを返した。