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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第104章 爽やかな笑顔だな




『どうして、そこまで。私に入れ込むのかが、分からないな…。ねぇ、聞かせてもらってもいいかな。貴女が、私のことを好きになってくれたきっかけを』

《 ……高校受験に失敗したんです 》

『へ?』

《 私のせいで、両親は喧嘩してばかりで。高校に進んだ友達とも疎遠になりました。そうして私の居場所は、どこにもなくなってしまった。それはもう自暴自棄になって、酒でも飲んでやるって思って、とあるバーに入ったんです。でも未成年にお酒を出してくれるわけはなくて…。そしたらそこのマスターが、お酒の代わりにチケットを1枚くれたんです。今からここの地下で、小さなライブをやるから聴いていけば良いって。
正直、音楽聴いて盛り上がろうなんて気分じゃなかったんですけど。これもなにかの縁かなって、地下に足を運びました。そこで、出逢ったんです。貴女に。
なにかの縁、なんて言葉で片付けられるものじゃなかった。私があの日、あのバーに入ったのは運命だったんです 》


そうか。あのライブに、彼女のような思いを抱えた人がいたのか。こうして聞かされるまで、知らなかった。


《 私の人生が変わりました。貴女のようなアイドルになる。傷付いた人の心を、歌で癒せる人間になる。その強い想いだけで、私はここまで来ました。そして、その想いがなければ私は今頃…どうなっていたか分かりません。
あぁ、ようやく、貴女に御礼を言える…!

Lioさん。あの時は、私を救ってくれてありがとうございました。居場所のなかった私に、ここに居ても良いんだよって教えてくれたのは貴女です!ありがとう…、本当に。
あの日、あの場所で、歌をうたってくれて、ありがとうございました 》

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