• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第104章 爽やかな笑顔だな




私もずっと引っかかっていた、彼女の物言い。


“ 初めて会えた!彼女を好きだった人に!”

“ Lioの歌を聴けば、誰でも絶対にファンになったに決まってるのにー!!”

“ もう、全国民全世界の人にLioの歌を聴いて欲しかった〜!!”

“ Lioこそ、この世で最も優れたアイドルでした ”


そう。その物言い全て、過去形なのだ。

そして楽に、Lioの真似だと言われたとき、Keiが顔色を変えた理由。それも、過去形で語る理由に通じているのだろう。



「Lioは、もう いないから。
だから、私が Lioになるの」


Keiの表情からは、何の感情も読み取れない。私達は、ただその場に立ち尽くした。


「最高のアイドルは、居なくなってしまった。だから、私が彼女に成り代る。Lioみたいに歌って、Lioみたいに踊って、Lioみたいに笑って、Lioみたいな曲を作って、Lioみたいにセルフプロデュースをするの。
そしたら、Lioが居なくったって私が皆んなを楽しませてあげられる。傷付いた人たちの心を癒してあげられる!だから私はLioにな」

「やめてくれ!!」


楽は叫んだ。聞く者の心を切り裂くような、悲痛な悲鳴。彼は狂気を帯びるKeiに一歩近付き、懇願するように告げる。


「もう、やめてくれ…。あんたが、いくら努力したとしても、Lioには、なれない。あいつの代わりなんて、いるはずがないんだ!
それから…あいつを、過去形で語るのも、頼むからやめろ。

お前がLioのことを過去形で言う度に、あいつが帰って来られなくなる気がする…。あいつのことを、もう世界から居なくなっちまった奴みたいに言うのは 頼むから、やめろ」

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp