第2章 …なぁ。俺達、どこかで会ったか?
「…出やがったな振り付け師」
「楽違うよ。この人は不審者」
『その二択ならば、振り付け師の方が幾分ましですね』
入室した私に、相変わらず手厳しいコメントが飛んで来る。
「中崎。こいつらに挨拶はしたんだろうな。たった3人手懐けられなくてどうする」
社長の心無い言葉に、楽は敵意を剥き出しにする。
『…申し訳ございません』
「なんだお前…。親父の言いなりかよ」
楽の親父=社長。これはとっくに把握済みだ。
『基本的には。うちの社長なので』
「あの…社長が、彼に俺達の事を全任したのは理解しました。
ですが、中崎さんは もともとウチの人間ですら無かった方ですよね」
「突然 部外者の人間を、社長が選んだ理由。ボク達にも納得出来るように説明して下さい」
今度は龍之介と天が、八乙女社長に言い寄った。
「……こいつについて、詳細を話すつもりは無い。お前達が納得する必要など無いからだ」
『……』
社長の冷徹過ぎる物言いに、案の定3人の反応は最悪だ。
怒ったり、呆れたり、落胆したり。それぞれの反応を見守っていたが、そろそろ私の痺れも切れてくる。
こんなところで、こんなふうに時間を浪費などしたくない。
『結果を出せば文句は無いでしょう。
貴方達TRIGGER全員が、私を利用価値のあるプロデューサーだと認める仕事をしますよ』
「ふん」
私の挑発的な言葉に、社長だけが鼻で笑ったが。TRIGGERのメンバーは、ただ絶句していた。