第104章 爽やかな笑顔だな
「キミが本気でこの世界に踏み込もうとしているのは、さっきのリハを見て分かった。だから、とても大切なことを教えてあげる」
「……」
「スタッフさんには、迷惑をかけないこと。丁寧な言葉遣いも忘れないで。そして時間はしっかり守って、他の演者さんにも気を配る」
「多い…。でもそんなことより、もっと自分の技術を磨いて実力付けたら、誰にも文句言わ」
「返事は?」
「は、はい」
返事は?と言った時の天の顔にはゾクっとさせられたが。しっかりと返事をしたKeiを見た後は、いつもの優しい彼の顔だった。
「キミが努力を重ねてきたことも、さっきのリハで分かったよ。だから、きっと出来る」
「うん!俺もそう思うよ。頑張ってね!」
「本番、楽しみにしてるぜ。頑張れよ」
踊り込んだダンスの、大幅な変更。しかもそれを試す時間はなく、ほとんどぶっつけ本番。だが不思議なもので、彼女ならやり遂げるのだろうという自信があった。
頑張れという3人からのメッセージを受け取ったKeiは、明るい声で返答する。
「色々ありがとう。私なら、絶対に大丈夫。こんなところで、躓いていられないもの。
私には…本物のアイドルに…Lioになるって目標があるから」
私達は、全員が目を大きくして固まった。最初に声を発することが出来たのは、楽だ。Lio本人である私よりも先に動き出したのだ。もはやそれは、執念のようなものだったのかもしれない。
「あんたやっぱり、Lioを、知ってるのか!」
「!!」
「知ってるんだな!」
「そっちこそ、Lioの名前に反応したってことは彼女を知ってるの!?なら、お願い教えて!
Lioは今どこにいるの!何をしてるの!?」
自分が言いたかったことを全て盗られてしまった楽は、またしても言葉を失った。