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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第104章 爽やかな笑顔だな




『ふぅ、すみません。心の修復が完了しました』

「「「早いな…」」」

『切り替えが早いことは私の長所ですから。
それよりも。さきほどの少ない会話から、私は確信しました。彼女のステージを成功させられるかどうかは、貴方達の手にかかっています』


私では、役者が不足している。Keiが耳を傾けるのはTRIGGERのような、トップを走る本物のアイドルのみなのだ。

またしても、自分に近付いてくる私に対しKeiは呆れた様子だ。しかも人数を4人に増やしているのだからなおさらだろう。


「また…?今度はなに?」

「そう怖い声出さないで。俺達は、君の力になりたいだけだから」


龍之介の顔を、狐の面がじっと見つめる。今度はさきほどのように、秒速で追い返されたりしなかった。


「いまさら足掻いたって、何も変わらない。変えられない。生放送スタートまで1時間を切ってる。私に残されたリハの時間はゼロ。そんな状況で、何をどう」

「生放送の時間は変えられない。キミの為のリハ時間も残ってない。でも、本番が失敗したわけじゃないでしょ」


天の眼が覚めるような透き通った声に、彼女は顔を上げた。気持ちは分かる。天のこの声は、不可能を可能に出来ると思わせるパワーがあるから。


「でも…今から、どう足掻いたって…私の歌が、ダンスが、瞬間的に上手くなるわけがない!」

「分かってる。でも、まずは俺達の話を聞け。まずは俺達を信じろ。
それとも…アドバイスをするのが、TRIGGERじゃ不服か?」


楽の自信に満ちた言葉を受け、ついに猛獣は牙を収めた。

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