第103章 ただいま
「わぁー!おかりんっ、ごめんなさーい!!」
「千くん?僕いま聞いちゃいましたよ? “ 裏で色々と動いてた ” って、一体なんの話でしょうか?ものすごーく初耳なんですけどねぇ?」
「う…っ」
苦しげな声を漏らした千は、身を小さくして私の背中の後ろに隠れる。私を間に挟み、凛人は眼鏡の位置を直してお説教タイムに入った。
「大体あなた達はいつも危険なことに自ら首を突っ込んで!少しは僕にも相談してくれたって良いじゃないですか!お2人にとって僕はそんなに信用出来ない存在なんですか!?」
「そんなことない!そんなことないよ!おかりんのことはもう、めっちゃくちゃ信用してる!」
「…どれくらいですか?」
「え!?えーと、バンジージャンプの命綱くらい!!」
「…千くんは?」
「大海原を漂う小舟に乗ってる時の、救命胴衣ぐらい信用してる」
「なるほど。それなら良いです。では、そんなお2人の命を握る僕からのお願いです。
……お願いですから、今すぐ一緒に楽屋へ戻ってください〜〜っ!」
「わ、分かった!分かったから泣かないで!」
「やっぱり、命を預けるのは少し不安かもな…」
目に涙を溜める凛人の背中を、百が押した。そしてその後ろを、千がのそっと付いていく。
帰り際に、2人は私達の方を振り向いた。
「じゃあオレ達行くね!
今度、皆んなでお疲れ様パーティーしようよ!アイナナの子達と、ŹOOĻちゃんも呼んでさ!」
「いいねそれ。僕も、ちょっとだけ頑張って料理振舞ってみようかな」
「わぁ!楽しそうですね!俺も料理作るの手伝いますよ」
「はは!絶対企画してくださいね!今から楽しみにしてるんで」
「ボクも、ぜひ参加させてください」
龍之介と楽と天はそう答え、足早に消えていく3人を見送るのだった。
「ふ、嵐みたいだったね」
「うん。でも、なんだか嬉しくなっちゃった。あぁやって、またあの2人が岡崎さんと一緒に仕事をする姿が見られて」
「あぁ。Re:vale完全復活!って感じだよな。悔しい気持ちもあるけど、この業界にはあの2人が絶対必要だ。だから本当に、帰って来てくれて良かった」
私達は静かになった楽屋で、Re:valeの弾けるような笑顔を思い起こした。