第103章 ただいま
笑い声の絶えない私達の歓談は続く。
「本当に、お疲れ様。大変だったよね…まさか了さんがあそこまで大暴れするなんて、さすがのモモちゃんも予想外だった。でも実は今だから言うけど、オレとユキは独立後も裏で色々動いてたんだよ。色んな人を巻き込んで、了さんを破滅の道に追い込む為の画策なんかを、ちょっとね」
「そうそう。それでようやく、後はプランを実行に移すだけってところまで来てたのに。
この子がね、全部ひっくり返してくれたんだ」
『え、私ですか?』
2人の視線がこちらに向いたので、私は思わず自分を指差し首を傾げる。
「あはは。でも、今となってはこれで良かったのかなって思ってる。オレ達の計画をもし実行してたら、了さん共々ŹOOĻの子達まで道連れにしてたかもしれない。でも、春人ちゃんのおかげでその道は回避された。違った選択をした未来の話なんて、今ここにいるオレ達がしても意味のないことかもしれない。でもさ、今こうやって皆んなで笑っていられる世界は、誰がどう考えたって、最高にハッピーだよね!」
百の、百満点の笑顔に巻き込まれるように、その場にいた全員も頬を緩める。
でもそうか。もしかすると一歩違えば、了が破滅する未来もあったのか。私には、どこへ行き着いた世界が正解だなんて分からない。
しかしやっぱり、TRIGGERもRe:valeもIDOLiSH7もŹOOĻも、そして了も笑っていられるここが、私にとっては幸せな世界だ。
「はぁ…。やっぱり、モモも春人ちゃんも優し過ぎるな。僕は了のような人間は、一度 地の地まで落ちるべきだったと思う。
その為に、僕らが裏で色々と動いてい」
「百くーん…?千くーん?……5分だけだって、抜けるのは5分だけだって言いましたよねぇ…?2人に挨拶をしたいって言ってくれてる人達の列は、どんどんどんどん伸びてるんですが…?」
いつの間にか楽屋に、ぬっと現れたのは悲壮感漂わせる凛人であった。