第103章 ただいま
百は、よよよ…と半ベソをかきながら私達に近寄って来る。
「ひどいよぅ!せっかく突撃訪問したのに、速攻で扉閉めちゃうんだもん…」
「突撃で訪問するからですよ!めちゃくちゃびっくりしたじゃないすか!」
「ふふ、その顔が…見たかったから、モモと2人で、スタジオから…ここまで、全力疾走したん、だ」
「わ、わぁっ、千さん!汗すごいですし、脚とかプルプルしてますけど大丈夫ですか!?お茶どうぞ!」
「どれだけ本気で走ったんだろう、この2人…」
ピンピンしている百とは違い今にも気絶しそうな千に、天は冷ややかな視線を向けるのだった。
それにしても、サプライズにこうも尽力出来る2人のサービス精神には頭が下がる。私は、人の楽屋ですっかり落ち着いた2人に語り掛ける。
『こんなところに居て良いんですか?貴方達と話をしたい人は沢山いるでしょう』
「あはは!うん、ちょっとなら平気平気!」
「僕らと話をしたいと思ってくれる可愛い後輩の為に時間を作るくらい、どうってことない」
『ユキ、ジェントルー…』
「ちょっ!春人ちゃん!?それオレの台詞ー!」
あはは、と楽屋に楽しい声が満ちる。
改めて、楽がRe:valeの前に進み出た。
「俺達が事務所を離れずに済んだのは、2人のおかげです」
「ほぇ!?なになに急に!」
「百さんと千さんが何も言わなくても、俺達は分かってますから。2人が岡崎事務所を出たのは、俺達や他のアイドルを守る為だったって。
だから、せめて言わせてください。ありがとうございました」
3人は、楽を真ん中にして頭を下げる。
「いやいやっ、そんなの気にしないでよ!ほら!こうやって今は元サヤに戻れたわけだし!」
「そうね。それに、必死に戦ったのは何も僕達だけじゃない。君達も、よく頑張ったね。
これからは、僕ら皆んなで守ったこの世界を もっともっと良いものにしていく努力をしよう。楽しみながら。全力で。その中で、1人でも多くの人を幸せに出来たら最高だろう?」
「「「……千さん、イケメン…!」」」
「だから!それはオレの台詞なんだってば!!」