第103章 ただいま
スペインのカルメン思わせるその衣装は、内に情熱を秘める彼らによく似合った。
そして何より、楽曲も素晴らしい。5人の反骨精神をそのまま歌にしたような、曲調も歌詞も、見ている者を引き込んだ。きっと、全てを賭け戦った彼らが歌うからこそ、こうも人々を魅了出来るのだろう。
私はこの贅沢なステージを、しっかりと目に耳に焼き付けた。
出来ることならずっと見ていたかったが、そうもいかない。華麗に一発OKとなった収録は、無事に幕を下ろした。
さてチャンスだ!と、TRIGGERはRe:valeに駆け寄ろうとするが、番組プロデューサーやスタッフ達に先を越されてしまう。3人がRe:valeとゆっくり話を出来る時間は、果たしてやって来るのだろうか。
仕方がないので、トボトボと自分達の楽屋に帰る。
「あぁして元気な姿でカメラの前に立つ2人を見られたから、ボクはもう満足したけどね」
「そうだな。出来れば、改めておめでとうって伝えたかったけど」
「はは。しばらくは、それも無理かもね。今日のところは、ラビチャを送るだけで我慢しようか」
そう にこやかに話す3人。私も、それが良いかもしれないと考えながら楽屋の扉を押し開いた。
「「来ちゃった♡」」
私は、開いた扉をすぐに閉めた。
「お、おい!い、いま、中にRe:valeの2人が居なかったか!?」
「ボク達の幻覚じゃなくて?」
「ちょっ、春人くん扉!扉を開けて!」
あまりの驚きで、ついつい条件反射で閉じてしまった扉を開ける。すると中には、紛うことなき百千が存在していたのだった。