第103章 ただいま
しかし、彼らの楽屋の前の人集りが消えることはなかった。私が単身で何度か様子を見に行ったのだが、結局 Re:valeへの挨拶が叶うことはなかった。そしてそのまま、本番が始まってしまう。
「はーい!今週も始まりました!NEXT Re:valeーー!!」
「ねぇモモ。先週もその前もやってなかったのに、今週もって、おかしくない?」
「はっ!たしかに!!じゃあ、なんてタイトルコールすればいい?」
「そうだな…
ようやく始めることが出来ました、とか?」
「オッケーやってみる!
はーい!ようやく始めることが出来ました!NEXT Re:valeーー!!
……ダメだ!なんか締まらないよ!」
「うん、もうなんでもいいか」
「飽きないでちゃんと付いてきてよユキー!」
開始早々のRe:valeフルスロットルに、現場を見守るスタッフも思わず笑いに包まれる。
セットに配置されたイメージカラーの2色も、以前よりも眩しく輝いているように見えた。まるで、2人におかえりと言っているように。
「でも、やっぱりここは落ち着くなあ。たっだいまーー!
沢山お休みしちゃってごめんね」
「今日からは、毎日 僕とモモの元気で仲の良い姿をお送りします」
「毎日はちょっと無理かな!?」
見事にコロコロと入れ替わる、2人のボケとツッコミ。オープニングトークが落ち着くと、いよいよTRIGGERが場に呼んでもらう流れになる。
「久し振りの放送だから、今日はなんと!スペシャルなゲストにお越しいただいちゃってます!」
「僕としては、モモと2人っきりでも良いと思ったんだけどね」
「ダーリン…っ!イケメン過ぎて、モモちゃん心臓がキュンってなっちゃう!」
呼んでもらえる流れ…のはずなのだが。