第103章 ただいま
「そうだね。天の言う通りだ。俺も、楽に打ち明けるべきだと思う。その結果がどうなろうと、TRIGGERは」
『TRIGGERは、壊れない』
私は、龍之介の言葉尻を奪った。目をきょとっとさせる彼に向け、言葉を重ねる。
『何度も何度も、貴方達からもらった言葉ですよね。臆病者の私は、さっきようやく確信出来たんですよ。貴方達3人が、私を涙ながらに迎えてくれたその時に。あぁ、私達なら大丈夫だって』
「そう!そうだよ!あははっ。絶対に大丈夫だから!」
「気付くの、遅いけどね」
龍之介も天も、私の行き着いた答えを聞いて満足そうに笑う。
『じゃあ楽にも、私が女でLioだと伝えましょう』
「うん!それが良」
『今』
「「いま!?」」
完全に夢の中にいる楽を、私はゆさゆさと揺する。
『楽、楽。起きて。大切な話があります』
「ちょ、さすがに急展開過ぎないか!?」
「思い立ったら即実行って、こういうことを言うんだね…」
「ん……っ、」
『楽、起きましたか。では聞いてください。
私は、Lioです』
「…んーー……?」
半分しか開いてない目で、懸命に頭を回そうとしている楽。その様子を、2人は緊張の面持ちで見守った。
「Lio…。ふふ、可愛い…」ふにゃ
ムニャムニャとそれだけ言うと、楽は再び夢の中へ旅立って行った。
「あぁ…!楽…っ!君って男は、千載一遇のチャンスを…!」
「今さらだけど、シラフの時に言ってあげなよ」
『ふ、ふふっ、あははっ。
そうですよね。まぁ近々、ちゃんと話しをしましょうか』
私は、また気持ち良さそうに寝息を立て始めた楽の寝顔に微笑んだ。