第103章 ただいま
ソファに腰を下ろしていたり、壁に背中を預けていたりする彼らに、私は胸中を打ち明け始める。
『すみません。情けない話、なのですが…少し自信がなくなってしまって。
私にとって、本当の居場所がどこなのか今になって分からなくてなってしまったんです』
私は、TRIGGERにプライベートを持ち込み過ぎたのだろう。深く関わり過ぎたせいで、彼らの調和を乱してしまった。
本来であれば、彼らを支える立場にある私自身がタレントを傷付けた。
私が彼らの元に戻れば、龍之介に続いて楽のことを傷付けてしまうかもしれない。天は優しいから何も言わないが、おそらく彼の心も私はこの手で切り裂いた。
こんな、私は。
『私は…今でも、TRIGGERにとって必要な存在なのか。分からないんです』
トウマが、困ったような顔で私の名を呼ぶ。
巳波が、悲しげに目を伏せる。
虎於は、俯いて弱音を吐く私に甘く囁く。
「迷ってるなら、俺達を選べよ。後悔なんてさせない。あんたは、このままŹOOĻというグループの傍に」
「ふざけるな」
小さく声を震わせたのは、悠であった。
「今のあんたは、オレが欲しかった奴じゃない…!そんな、オレ達を逃げ場所みたいに使うあんたは、全然 違う!」
『悠…すみません、私はそんなつもりじゃ』
「TRIGGERが、春人を必要としてるか分からないって?ふざけんなよ!
TRIGGERが、春人に戻って欲しくないとか…そんなことあるわけないじゃん。この、馬鹿…っ!」
久し振りに彼が放った、馬鹿という言葉。その短い言葉は、私の目を醒めさせるに十分であった。
『……すみません。送迎は、もう少し待ってもらっても良いですか?
今から、了さんのところへ行って話をして来ますから』
私は扉の前まで行ってから、背中で言う。
『悠。皆さん。
ありがとう』