第102章 ŹOOĻ!ŹOOĻ!ŹOOĻ!
それから、私は4人を無事に自宅まで送り届けた。もうすっかり身に付いた、効率の良いルート選び。もうすぐ、必要はなくなるのだろう。そう思うと、やはり少し寂しかった。
日付も変わろうという夜も深い時間帯であるが、社用車をツクモプロに置き、自前のバイクに乗り換えなくてはならない。
私はいつものように、バイクを停めた場所まで向かう。すると、そこには了が立っていた。
「信じられないくらい待ったんだけど。後5分待って来なかったら、帰ろうと思ってところだったよ」
『それはそれは。社長をそんなにお待たせしてしまうなんて、秘書失格ですね。すみません』
「あ、僕もう社長じゃないから」
『えっ』
思わずそう声を漏らした私に、了は説明してくれる。
ライブ後、了と兄で話し合ってそう決めたらしい。ツクモの社長には、再び兄の方が就任するのだそうだ。
そろそろ社長業にも飽き飽きだったからちょうど良かった、なんて軽口を叩いて見せるのが、なんとも了らしかった。
『それはそれは。今までお疲れ様でした』
「あっさり言ってくれるねぇ。茹でただけのハンペンくらいあっさりだ」
『ほぼ無味無臭ですね』
「僕を兄から庇った時は、もっとこってりしてたのに」
『言い方…私はラーメンかなにかですか』
了は首を振って、そんなにいいもんじゃないでしょと呟いた。
「君は大馬鹿だ。僕を助けたって、誰の得にも、何の得にもなりはしないってのにさ」
『損得勘定で動いたわけではないです。これは私と、ŹOOĻと、皆んなの意志です。私ね、貴方の事が嫌いじゃないんですよ。
ただ…貴方は間違った。超えてはいけない一線を超えた』
「分かってるよ、そんなことは自分が1番。だから、もう全部終わらせるべきだったんだ。警察でもなんでも、さっさと引き渡せば良かったのに」