第102章 ŹOOĻ!ŹOOĻ!ŹOOĻ!
食べて飲んで、私達は2時間ほどを楽しく過ごした。そして、そろそろ帰宅の時間がやって来る。私が伝票を持って立ち上がると、メンバーは笑顔で告げる。
「割り勘でいいんじゃない?」
「だな。楽しかったし、5人で割ろうぜ!」
「私も賛成です」
『いえいえ、今日は私が。ぜひ皆さんのことを労わせてください』
などと言っている間に、虎於がバインダーを私から取り上げた。
「こういうのは、俺の役目だろう。ここは素直に甘え……」
『……値段、それで合ってますからね』
「本当か?本当に合ってるんだな?」
その激安価格を見た虎於は、なかなか私の言葉を信じてはくれなかった。
そして、虎於はレジへと向かう。他のメンバーと私は、店を出たと思わせて そっと会計の様子を窺った。
「ご馳走様」
「ありがとうございます」
レジの液晶に価格が表示され、カードを出す虎於。しかし、支払いは現金のみだと言われてしまったようだ。カードを引っ込め御札をマネートレーに置くと、間も無くお釣りが返ってくる。
しかし、それを受け取った後も、彼はその場を離れ難そうにしている。そして、こそっと店員に話し掛けた。
「あいつらは、価格に間違いがないと言っていたが…本当なんだな?桁がひとつ違っているなんてことは、ないんだな?」
「は、はぁ…」
困惑する店員さんをレスキューしに、私達は店内に駆け込んだ。
「虎於!どんなけお金払いたいわけ!?この金持ち!」
「すんません、悪気はないんです!こいつ、ただ金持ちなだけなんです!」
『そうなんです。ただの金持ちなんです。ごめんなさい』
「お気を悪くされないでくださいね?金持ちの悪いところが前面に出てしまっただけですので」
レジ奥の店員は、突如として顔の良い大人達に囲まれて、半ばパニック状態となっていた。
「お前ら…金持ちって言いたいだけだろ…」