第102章 ŹOOĻ!ŹOOĻ!ŹOOĻ!
『あぁ…眩しいな』
関係者席からステージを見上げ、私は思わず零していた。
急ぎ戻り、慌てて彼らの元に駆け付けたものの、思い知らされる結果となってしまった。
もう、ŹOOĻというグループに、私は必要ないのだと。
今日のライブは、三部構成となっている。今ちょうど、最後の休憩時間に入った。そこを利用し、私は客席からステージ裏へと移動する。
何人ものスタッフとすれ違い、私は関係者通路をいく。
「中崎くん」
『?』
後ろから低い声で名を呼ばれ、振り向く。そこに立っていたのは…
ツクモの元社長。了の兄であった。
まぁ、彼がここにいても何ら不思議ではない。しかし、私は絶句した。彼の両脇に、警察が立っていたからだ。警備員かと思ったが、それは違う。嫌な汗が背中を伝った。
『ご無沙汰して…あ、いえ。お疲れ様です』
「いや、いい。気を遣わず楽にしてくれ。
今まで君には色々と、愚弟が迷惑をかけたね」
『そんなことは』
どうしてこのタイミングで、了をそんなふうに過去形で語るのか。嫌な予感が、ザワザワと全身を這い回る。
「君には伝えておこうと思って。
今から、了を警察に引き渡す」
『え…?』
だからどうして、今なんだろうか。きっと、今なら了は変わっているはずなのだ。変えられている、はずなのだ。あんなŹOOĻを目の当たりにして、胸を打たれないはずがない。