第102章 ŹOOĻ!ŹOOĻ!ŹOOĻ!
【side 月雲了】
誰だ。
いま、ステージで歌い踊るアイドルは、誰だ?
いつから彼らは、あんなに眩しく、輝く存在へと昇華した?
ただひとつ言えるのは、あれは僕が育てたŹOOĻではないということ。
どうして、人を惹きつける存在になれたのか。それも、簡単なことだ。
それは彼らが、人の幸せを願い歌っているから。
「キャーーー!ŹOOĻーー!」
「ヤバイかっこいいヤバイ上がるー!!」
隣でŹOOĻを求める声を上げるファンの姿を見て、何故か胸が痛んだ。どうしてだろう。
その理由が分からないまま、再びステージを見上げる。
「……やっぱり、僕は…アイドルなんて、大嫌いだ」
どれだけ愛しても。どれだけ欲しても。彼らは簡単に僕を置き去りにするじゃないか。
あの4人が、汚れているときは僕と一緒だったのに。どうして、離れていってしまうのか。
嫌だ。嫌だ…。置いて、いかないで。
「っ…、…ール…、ŹOOĻ…」
手を伸ばす。
高い高い、ステージに向かって。
視界が霞むのは、きっと気のせいだ。
「ŹOOĻー!僕の、僕のŹOOĻだ!!
こっちを…こっちを見て!!ŹOOĻ!!」
なにかの、悪い冗談だ。
この僕が、願ってしまうなんて。
ŹOOĻが、この本物のアイドルになったŹOOĻが
正々堂々と、Re:valeやTRGGERに打ち勝つところが 見たいなんて。
「あぁ…眩しいな」
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