第102章 ŹOOĻ!ŹOOĻ!ŹOOĻ!
私が病院に着いてから、15分ほどが経過していた。未だ、付き人は戻ってこない。せめて、彼が戻るまでは天の傍にいようと思ったのだが…。やはり気にかかるのは、ŹOOĻのこと。意を決して、天に言葉を掛ける。
『あの、天』
「そういえば、キミの方は大丈夫なの?休みじゃないんでしょ?」
『そのことなんですが、実は…』
手短に、私が置かれている状況を説明した。すると天は、朗らかな表情から一転。私を睨み付けるような険しいものに変わった。
「は?」
『いや…その、だから』
「じゃあ何。ŹOOĻは今、キミなしでステージに立ってるの?キミなしで、そのライブに挑んでるの?」
その気迫に押されながら、私はしどろもどろで頷いた。すると、天は短く告げる。
「行って」
『あ、』
「早く」
『天…』
「キミが今いるべき場所は、ここじゃない」
一聞して、突き放すみたいな言葉ではあるが、私は知っている。この厳しさこそが、天を天たらしめているのだと。少し慣れて仕舞えば、愛さえ感じるのだ。
『…ははっ』
「笑ってる場合じゃなくない?」
『いや、天の、そういうところ本当に天だなと思って』
「ふ。それ、さっきの仕返しのつもり?」
『では天。検査にも付き添えず、ごめんなさい。私は彼らの元に、急ぎ戻ります』
「うん。いってらっしゃい」
『はい。いってきます』
ベット上の彼に背を向けて、私は歩き出し出口に手をかける。すると、後ろから声が追いかけてきた。
「ありがとうエリ。1番に駆け付けてくれて、嬉しかったよ」