第102章 ŹOOĻ!ŹOOĻ!ŹOOĻ!
結局、姉鷺には はっきりとした答えを返せないまま通話は終了した。動揺で、吐き気さえするのを ぐっと堪えて前を向く。
今の私は、TRIGGERのプロデューサーではない。ŹOOĻのマネージャーなのだ。だから…
天の元には、行けない。
「春人。行ってこい」
トウマが言った。
私が通話している間に、彼から詳細を聞いたのであろう他の3人も頷く。
『ですが…いま、私がここを離れてしまっては』
「春人は、オレらのこと信じてないのかよ。ŹOOĻは、オレ達は…あんたがいなくても大丈夫だ。ちゃんとやれる」
悠は、不敵な笑顔でそう告げた。いつから彼は、こんなに頼もしい顔で笑うようになったのだろう。
「信じろよ。俺達のことを。もっと素直に、甘えていい」
『虎於…』
「自分の立場も大事ですが、時にはそれ以上に大切にしなければいけない物もある。そう言って私をノースメイアに送り出してくれたのは、他でもないあなたですよ。
だから今度は私が、迷うあなたの背を押します」
【98章 2365ページ】
4人の優しさに、思わず両手で顔を覆う。しかし、こんなところで浪費していい時間など1秒たりともありはしない。
すぐ様 ばっと顔を上げ、行ってきますと ありがとうを彼らに告げた。それとほぼ同時に走り出した私の背中を、4人は見送ってくれる。
本来なら1番近くで聴いているはずの音楽が、少しずつ遠くなっていく。力強いŹOOĻの歌声が、祈るような気持ちの私を確かに勇気付けた。