第102章 ŹOOĻ!ŹOOĻ!ŹOOĻ!
そしてトウマの次は、悠が参加する。
「ふん。まぁ、付き合ってあげる。仕方ないから…。えへへ」
お次は虎於。
「今回ばかりは、気合い入れないといけないからな」
そして、巳波も。
「たまには良いですよね。こういうのも」
手を重ねた4人は、揃ってこちらを見る。彼らの眩しい笑顔に目を細めながら、私もそっと手を乗せた。
「よし!じゃあ春人、なんか気合い入るやつ頼む!」
『えっ。ここまで来て、リーダーである貴方が私に振ります!?』
「最後の掛け声的なのは俺がやるから」
「ちょっと!どっちでもいいから早くしてよ!」
「この格好、結構恥ずかしいからな…」
「ふふ。あなたがどんな言葉を下さるのか、わくわくしてしまいますね」
さきほどから、背中に微笑ましい視線が突き刺さってくるのを感じる。周りのスタッフ達が、どんな目でこちらを見ているのか手に取るように分かるのだった。
そんなふうに見守られながら、仕方なく私は言葉を紡ぐ。
『…本物だから偉業を成すのではない。きっと、偉業を成した者が本物になるんです。
皆さん、本物になる準備は良いですか?』
「はは!いいな!最高に気合い入った!
今夜、俺たちはこの場所で本物になる!俺たちの名前は…ŹOOĻだ!よっしゃ!いくぞ!」
おう!と、気迫に満ちた掛け声は4人分。しかしその声は広がり、熱は周りに伝染する。スタッフ達も、一丸となりこのライブを成功に導くことを胸に誓うのだった。