第102章 ŹOOĻ!ŹOOĻ!ŹOOĻ!
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パソコンと睨めっこをしていたら、目の疲労が困憊だ。ブルーレイカットの度なしメガネを外して、目頭をぎゅっとつまむ。霞目が少しマシになったとき、扉が丁寧にノックされる。この品の良さか滲み出ているノックの音を聞けば、部屋の前に誰が立っているのか見ずとも分かる。
『お疲れ様です。貴方、この部屋が好きですね』
「好きなのは部屋じゃない。俺が何を気に入ってここへ足を運ぶのか教えてやろうか?」
『いえ、遠慮しておきます。
というより、どうして皆さんと一緒に帰らなかったんですか?』
明日の準備もあり、私は何かと忙しい。だから、今日は4人の送迎を別の者にお願いしてあったのだ。しかし、虎於はここに現れた。
「あぁ。いつ返事をもらえるのか待っていたんだが、あんたがなかなか切り出して来ないからな。こっちから聞きに来たんだ」
『返事?』
「おいおい。まさかなかったことにするつもりか?この場所で、あんたに伝えただろう。俺達が愛を確かめ合った時に」
『いや言い方… って、それよりも。まさかとは、思いますが、虎於が言ってるのは…』
私は考えに考え抜いた末、ひとつの仮説に行き着いた。彼が伝えたと言っているのは…
“ 俺が…!俺なら、永遠にあんたを愛してやる!だから、俺以外は全部忘れろ!エリ…っ ”
“ 俺はお前を、愛してる ”
もしかして、あの日のあれか!
虎於が何の返事を待っているのか理解した私は、頭を抱えた。
「俺からの告白を忘れる、そんな女がこの世にいるなんて驚きだよな」
『同意し辛いですし、忘れていたわけじゃないんですけどね』